住宅展示場にあるモデルハウスを見学するときに、見ておきたいことのひとつが間取りです。しかし、ネット上には「モデルハウスの間取りは参考にならないのでは?」との声も見られます。
たしかに、住宅展示場にあるモデルハウスは一般的な家よりも広く豪華ですが、だからといって、間取りがまったく参考にならないわけではありません。
今回は、モデルハウスの間取りに関して参考にならないといわれている理由をご紹介します。また、モデルハウスの間取りをこだわりの家づくりに活かすためのポイントも解説します。
住宅展示場にあるモデルハウスの間取りが参考にならないといわれる理由
まずは、住宅展示場にあるモデルハウスが参考にならないといわれている理由を2つご紹介します。
生活動線が家庭ごとに異なるから
生活動線とは、家の中で暮らしている人たちが、移動する経路を線状にしたものを表す言葉です。具体的には「朝起きた後に、寝室から洗面所へ向かうルート」「家事のために、キッチンとお風呂場やランドリールームを往復するルート」などが挙げられます。
そして、生活動線は各家庭のライフスタイルによっても変わるものです。例えば、一度の買い物で大量に食材を買い込むことが多い場合、玄関からキッチンまでが遠いと荷物を運ぶことが負担になってしまいます。
上記のことから、モデルハウスの間取りをそのまま取り入れたとしても、実際に住んでみると家族の生活に合わず、「暮らしにくい」と感じる可能性もゼロではありません。
モデルハウスは一般的な住宅よりも豪華なつくりだから
住宅展示場にあるモデルハウスは、一般的な住宅よりもつくりが豪華です。例えば、寝室や子供部屋のスペースに余裕があったり、階段やお風呂、トイレなどが広く作られていたりすることがあります。
そのため、モデルハウスの間取りをすべて取り入れようとすると金額が跳ね上がり、予算をオーバーしてしまう可能性が高いです。このように、たとえ間取りを気に入ったとしても、そのまま真似できないことから「モデルハウスの間取りは参考にならない」という声が出ているのだと考えられます。
関連記事:注文住宅で予算オーバーになる原因を紹介!後悔しないように費用を削るためのポイントは?
住宅展示場にあるモデルハウスの広さは非現実的?平均はどのくらい?
住宅展示場にあるモデルハウスの広さについて気になる方もいらっしゃるかと思います。
この項目では、よく購入される注文住宅の面積とモデルハウスの面積の違いについて解説していきます。
注文住宅の住宅面積の全国平均は119.5㎡
住宅金融支援機構が実施した「2023年度 フラット35利用者調査」によると、注文住宅の住宅面積の全国平均は119.5㎡(約36.1坪)とのことです。
上記は2023年度の全国平均のデータです。実際には、地方か都心部かによっても住宅面積の平均は異なるため、一概にはいえませんが参考としてご覧ください。
【参考】住宅金融支援機構|2023年度 フラット35利用者調査
モデルハウスの面積は約200㎡
まず、住宅展示場にあるモデルハウスの面積はおおよそ200㎡、60.5坪程です。実際によく購入されている住宅面積の平均(119.5㎡)よりも、約1.6倍広く作られていることがわかります。
もちろん、ハウスメーカーや工務店によっても違いはありますが、建売住宅のようなリアルサイズモデルを除いて、広めのスペースが確保されているパターンがほとんどです。
そのため、住宅展示場のモデルハウスを訪れる際は「実際に建てる家の方が狭い」という前提をふまえた上で見学した方が参考になるでしょう。
住宅展示場にあるモデルハウスは冷暖房効率と建ぺい率が考慮されていない?
住宅展示場について調べていると「モデルハウスは冷暖房効率や建ぺい率が考慮されていないから参考にならない」との情報を見かけることがあります。
結論からお伝えすると、モデルハウスは建ぺい率を考慮して建てられています。また、冷暖房効率のことも考えてつくられている可能性が高いです。
ひとつずつ、項目にわけて解説していきます。
冷暖房効率は考慮されていないの?
モデルハウスの中には、吹き抜けのリビングが取り入れられているパターンも多く見られます。このような開放的な間取りを見て「モデルハウスは冷暖房効率が考慮されていないのでは?」と思われる方もいらっしゃるようです。
たしかに、吹き抜けのリビングの場合、一般的なエアコンを使用するだけでは温かい空気が上に流れてしまい、冬には一階が寒くなることが考えられます。反対に夏になると、熱がこもりやすい二階が暑すぎるなんてことも……。
しかし、最近は家の中全体を温めてくれる高断熱・高気密な設備も登場しています。そして、住宅展示場は、各ハウスメーカーや工務店がお勧めする自社の住宅性能を披露する絶好の場です。つまり、吹き抜けのリビングだけを見て「モデルハウス=冷暖房効率が考慮されていない」と言い切ることはできないのです。
ですので、冷暖房効率について気になったときは、モデルハウス見学時に担当者へ質問してみるとよいでしょう。
建ぺい率は考慮されていないの?
建ぺい率とは、家などの建物を建てる土地の面積(敷地面接)に対して、建物を建てられる面積(建築面積)の割合のことです。例えば、建ぺい率が60%の地域では、100㎡の面積に対して、60㎡までの家を建てられます。
火災や災害時の被害を防ぐためにも、この建ぺい率は、必ず守らなくてはいけません。
ネット上では「モデルハウスの場合は建ぺい率が考慮されていないから、広く見える」との声を見かけることがありますが、実際には、モデルハウスは仮設許可を取った上で、地域の基準を守って建てられています。
そのため、モデルハウスが広く思えるのは、単純に土地そのものが広く、家が大きく見えるからだと考えられます。
住宅展示場にあるモデルハウスの間取りを見るときのポイント
住宅展示場のモデルハウスの間取りをこだわりの家づくりに活かすポイントをお伝えします。
生活動線を想像しながら歩いてみる
モデルハウスの見学時には、そこで生活していることを想像しながら歩いてみることが大切です。
生活動線は毎日の生活にかかわってくるため、家づくりにおいて意識したいポイント。実際にモデルハウスの中を歩くことで、「ここは少し不便だ」という点が見えてくる可能性があります。
例えば、以下のケースを想定して歩いてみましょう。
- 洗濯機の設置場所からベランダまで(洗濯物を運ぶことを想定)
- 玄関からキッチンまで(食材を冷蔵庫まで運ぶことを想定)
- 玄関から洗面所まで(帰宅後に手洗いすることを想定)
上記はあくまで一例です。
モデルハウスの見学前に、家族一人ひとりの一日の動きを思い出してみるとよいかもしれません。
来客動線を意識する
来客が多いご家庭の場合は、来客動線のことも意識しながらモデルハウスの間取りを見ておきましょう。
- 玄関からダイニングやリビングまで案内しやすいか?
- お客様からプライベートな空間が見える間取りではないか?
- 生活動線と来客動線が交差しないか?
まずは、お客様の目線になって玄関から歩いてみます。そのうえで、お通しする場所までのアクセスのしやすさや、家族のプライバシーに影響が出ないかを考えるとよいでしょう。
また、来客が多い場合、リビングを通らないとお風呂場に行けない間取りもおすすめできません。来客時に他の家族が入浴しにくくなることが考えられるからです。
ベランダやテラスも忘れずにチェック
モデルハウスを見学するときは、家の中の間取りだけでなく、ベランダやテラスにも目を向けてみましょう。「洗濯物を干す」「ガーデニングをする」など、外部エリアの使い方が決まっている場合は、その用途に利用できる広さがどのくらいであるのかを判断する材料となります。
ちなみに、最近はあえてベランダやテラスなしのプランを選択する方もいらっしゃいます。住宅展示場には、上記のようなモデルハウスが出展されていることもあるため、家づくりの参考にするとよいでしょう。
好みの部分をピンポイントで参考にする
住宅展示場にあるモデルハウスの間取りをそのまま家の設計に取り入れることは現実的ではありません。すでにお伝えした通り、各家庭ごとに生活動線や設備に使える予算が異なるからです。
しかし、モデルハウスには家づくりの参考になる部分もたくさんあります。
例えば、実際の間取りを見ることで「玄関からキッチンまではこのくらい近いと便利だな」「リビングからトイレはもう少し近い方がよさそう」などの発見があることも。
このような部分をピンポイントで参考にすることで、より理想の家を建てやすくなるでしょう。
関連記事:家を建てる時の間取りの決め方は?注文住宅でやりがちな失敗例と注意すべき2つのポイントを紹介
気になるハウスメーカー・工務店の建築済み住宅見学会や内覧会に行く方法もおすすめ
住宅展示場でモデルハウスを見学した後は、気になるハウスメーカーや工務店の建築済み住宅(リアルサイズモデル)の見学会や内覧会に行くことも検討しましょう。
建築済み住宅(リアルサイズモデル)は、一定期間モデルハウスとして公開された後に建売住宅として販売される前提で作られたモデルハウスのこと。住宅展示場のモデルハウスのような広さはなく、実際に生活することを想定して作られています。そのため、そこで暮らしている場面をイメージしやすく、参考にしやすいというメリットが得られます。
住宅展示場のモデルハウス見学会ではいまいち間取りにピンとこなかった方も、リアルサイズモデルを見ることで家づくりのヒントを得られるかもしれません。
住宅展示場の間取りは部分的に参考できる!
住宅展示場にあるモデルハウスは、全国平均の面積よりも広いスペースが使われています。また、つくりが豪華であることからも「そのまま参考にできないのでは?」という声も見られます。
たしかに、家を建てるスペースや生活動線、設備の希望などは家庭ごとに異なるため、モデルハウスの仕様をまるごと取り入れるパターンはあまり見られません。
とはいえ、モデルハウスを見学するからこそ好みの間取りがわかったり、「こんな間取りもあるのか」と発見に繋がったりすることもあるかと思います。
こだわりの家をつくりたい方はぜひ一度、間取りの参考も兼ねて、住宅展示場のモデルハウスを見学してみてはいかがでしょうか。
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