注文住宅を建てる場合、土地所有の有無によって家づくりの手順は少し変わってきます。土地を所有していないのであれば、まずは家を建てる土地を探さなければいけません。
「家を建てたいけれど土地を探さなければいけない」
「土地探しと家づくりはどのように進めれば良い?」
とお悩みの方に向けて、本記事では土地がない状態から注文住宅を建てる流れについて解説。また、家を建てたいエリアに土地がない場合の対処法についてもまとめています。
土地探しから家づくりを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
土地なしの状態で注文住宅を建てる場合の大まかな流れをチェック
土地を持っていない状態で注文住宅を建てる場合、土地探しや契約などの手続きと並行して、家づくりに関する打ち合わせや契約も進める必要があります。
土地と建物に関する手続きは大まかに以下の流れで進みます。
土地の手続き | 建物(住宅)の手続き |
---|---|
事前準備(情報収集、予算設定など) | |
土地探し ↓ 土地の申込・契約 ↓ 土地引き渡し 敷地・地盤調査 |
↓ ↓ 施工会社の選定・決定 ↓ 工事請負契約 ↓ 設計プランの確認 ↓ 建物着工 ↓ 完成・引き渡し |
それでは、土地なしの状態から家を建てるまでの流れを次から見ていきましょう。
1.事前準備|住宅のイメージを固めておく
土地探しや施工会社選びの前に、まず「どこにどんな家をいつ建てたいか」を家族で話し合い、理想とする住まいのイメージを明確にしましょう。
特に注文住宅の場合は、間取りや設備、デザインなど施主の希望に沿って設計されるため、具体的なイメージを持つことが重要となります。
住宅のイメージを膨らませるためには、幅広く情報を集める必要があります。情報収集には以下のような手段を利用してみましょう。
情報収集の手段 | 特徴 |
Webサイト・雑誌 | 公式サイトや専門サイトによる施工事例をチェックできる |
ブログ・SNS | 実際に家を建てた人の体験談や写真を参考にできる |
総合住宅展示場でモデルハウスを見学 | 実物を見学することで、間取りの広さや素材感、設備の使い勝手を確認できる 住宅メーカーのスタッフに直接質問できる |
住まいフェアやセミナー | 最新設備や住宅ローン、土地など家づくりに関する情報が得られる 複数の業者の話を一度に聞くことも可能 |
また、家族構成や年齢、生活スタイルに合わせた導線を考慮するほか、子どもの独立や将来的な介護を見据えた設計も考える必要があります。
計画の初期段階では広く情報を集め、徐々に具体的なイメージやプランを絞り込むようにしましょう。
関連記事:「初めての住宅展示場もコレで安心!見学の流れやチェックポイントなど」
家づくりの予算の設定
家づくりにおいて予算の設定は欠かせないステップです。あらかじめ、住宅ローンの借入可能額と自己資金について把握しておきましょう。
住宅ローンの借入可能額を確認 |
① 金融機関や施工会社のシミュレーションツールを活用 ② 年収・現在の負債をもとに、借入可能額と月々の返済額を試算 ③ 無理のない借入額を把握しておく(年収の5~7倍が一般的な基準) |
自己資金の計算 | 貯蓄や親からの援助、ボーナスの一部など、頭金として使える額を算出する |
家づくりでは、土地の購入や建物工事、登記などで多くの費用が必要となりますので、無理のない範囲で予算設定を行いましょう。
関連記事:「【事例あり】家を建てるのに貯金はいくら必要?初期費用を抑えるコツも!」
施工会社の選定
家づくりのイメージがある程度固まれば、施工会社を選定します。施工会社にはハウスメーカーや地域密着型の工務店、設計事務所などが挙げられますが、候補を出す際は以下を参考にしてみましょう。
- 総合住宅展示場や見学会に参加し、実際の建物を見る
- 資料請求をして施工例や仕様を比較
- インターネットの口コミや評判を調査し、施主の声を参考にする
- 知人や家族から経験談を聞く など
理想の住まいを実現できそうな施工会社をリストアップしたら相見積もりをとり、家づくりをお願いする施工会社を絞っていきましょう。
2.土地探し
土地がない状態であれば、「どこに土地を購入するか」を決める必要があります。いくつかの判断基準をもとに優先順位をつけ、家族で話し合いましょう。
土地探しでは、以下のようなポイントを基準に検討すると良いでしょう。
判断基準 | 内容 |
エリア・学区 | 子どもが通学しやすいエリア(学区)であるか |
土地の広さ | 駐車スペース込みの広さはあるか |
交通の便 | 駅からの距離や主要道路のアクセス |
日当たり | 周辺の建物が日当たりに干渉するか |
買い物の利便性 | スーパーや商業施設までの距離 |
災害への強さ | ハザードマップの情報を確認、河川の近さ |
自然環境 | 公園の有無など |
静けさ | 騒音が少ないエリアか |
交通量 | 周辺道路の混雑の有無や安全性 |
生活環境に大きく関わるため、土地探しは重要なステップです。しかし、条件にこだわりすぎると土地が見つからず、家づくりが遅れる可能性があります。そのため、絶対に譲れない条件と妥協できる条件を明確にし、優先順位をつけておくことが重要です。
例えば、「子供が小学校に入るまでに家を建てたい」など完成・入居までに期限がある場合は、土地探しの条件を見直し、スムーズに家づくりを進められるようにしましょう。
土地を探す手段3つ
土地を探す手段としては主に「個人で探す」「不動産会社に依頼する」「ハウスメーカー・工務店に依頼する」の3つが挙げられます。
それぞれのメリット、デメリットについて見てみましょう。
依頼先 | メリット | デメリット |
個人 |
・自分のペースで検索可能 ・費用がかからない |
・専門的知識が必要(法的条件や災害リスクなど) ・時間と労力がかかる ・非公開の土地情報にアクセス不可 |
不動産会社 |
・専門的アドバイスを受けられる ・非公開の土地情報を紹介してくれる ・地域密着型の提案がもらえる |
・住宅向けの理想的な土地とは限らない ・仲介手数料がかかる |
ハウスメーカー 工務店 |
・家づくりの目線で土地探しをしてくれる ・非公開の土地情報を紹介してくれる ・土地と住宅のバランスを考えた提案をしてくれる |
・仲介手数料がかかる (※仲介手数料が発生しないケースもある) |
もし、設計をお願いしたいハウスメーカーや工務店が決まっているのであれば、土地探しも含めて相談するとスムーズに進められるでしょう。
関連記事:「土地探しをハウスメーカーに任せるメリットは?注意点・デメリットも解説」
土地探しの注意点
土地を決める際は、現地確認を必ず行うことが重要です。
実際に現地を訪れて、日当たりや周辺環境、騒音の有無を確認します。時間帯や曜日、天候等の条件を変えて見学を行うとより良いでしょう。
また、隣地との境界や建物の有無も確認するようにしてください。
3.土地申込・売買契約
希望の土地が決まったら、申込と購入手続きを進めます。
重要事項説明書に関する説明を受けた後、正式に土地の売買契約を結びます。不明点があれば質問し、契約内容はしっかりと理解しておきましょう。
契約書に署名・押印し、土地手付金を支払います。土地手付金は購入価格の5〜10%が目安で、代金の支払いは現金または銀行振り込みが一般的です。買主都合で契約解除をすると手付金が返金されない点には注意しましょう。
購入後は司法書士に依頼し、土地の登記申請(土地の所有権を買主に移す申請)を行います。これにより、土地の所有権が買主に移ります。
4.工事請負契約
最終的に家づくりを依頼する施工会社と、間取りや部屋数など基本のプランを打ち合わせた後、工事請負契約(本契約)を締結します。
工事請負契約は施主がハウスメーカーや工務店に「住宅を建てる工事を依頼する」ための正式な契約のことで、工事内容や工期、契約解除・変更に関する内容などが記載されています。
工事請負契約では、契約内容をしっかりと理解し、トラブル防止のためにも不明点を解消しながら進めていきましょう。また、契約の段階で工事費用の一部(建物契約手付金)を支払います。
契約後は工事請負契約書が入手できるため、住宅ローンの本審査の書類を提出および申請に進み、審査が通れば融資が確定します。
5.土地引渡し
工事請負契約と同時期に、購入した土地の引渡しも行われます。引渡しは売買契約時と同じ状態で土地が引き渡されているかを確認しましょう。
土地引き渡し後は敷地・地盤調査を行います。
敷地調査とは、敷地を測量して法律の面からどのような家を建てられるのかを調査すること。具体的には以下の点などを確認します。
- 敷地の広さや高低差、傾斜
- 道路の交通量、騒音
- インフラ(電気・上下水道・ガス)の状況 など
また地盤調査では、地盤の強度や性質を調べ、建物を安全に建築できるか確認します。地盤調査の結果、地盤改良が必要であれば、地盤改良工事が提案されます。その際、費用が発生する点に注意してください。
6.建物設計プランの確認
建物の本契約後は、施工会社と設計・設備仕様・プラン等の確認を行います。家づくりへのこだわりの数だけ、打ち合わせの回数や時間も増えてくると理解しておきましょう。
ここでしっかりと希望を伝えておかないとイメージとは違う設計になる、あるいはコストが大幅に変更となる可能性がある点に注意しましょう。
7.建物着工・完成・引渡し
住宅の設計図が確定し、建築許可が下りたら、いよいよ着工です。新築着工前には地鎮祭や上棟式などの実施をするかどうかも決めておきましょう。
建物完成後は以下2つの検査を実施します。
完了検査 |
・申請通りに建物が建てられているかのチェック ・市区町村の担当者(建築主事)が確認 |
竣工検査 施主検査 |
・住宅や設備、内装に施工ミスや問題がないかを確認 ・打ち合わせ内容と相違があれば、修正を依頼 ・竣工検査は施工会社が確認(施主が立ち会う場合は施主検査とも呼ばれる) |
無事に検査が完了した後、鍵の受け取りと設備使用方法等の確認をします。これで引き渡しが正式に完了です。
住みたい場所に土地がない場合の対処法
住みたい場所にマイホームを建てるのが理想的ではありますが、土地探しが思うように進まず、希望の土地が見つからない場合もあります。
そこで、住みたい場所に土地がないという場合はどのように対処すれば良いのか、次から詳細を見ていきましょう。
新しいエリアで土地を探す
まずは希望する土地とは別のエリアに目を向ける方法です。
メリットとしては、選択肢が広がり新しい環境に出会えること。探すエリアを広げることにより、条件に合う土地が見つかる可能性が高まります。
また、希望していたエリアよりも土地の価格が抑えられたり、現地で新たな魅力を発見できたりするかもしれません。
デメリットとしては、通勤・通学で利便性が低下する可能性があることです。希望エリア外だと職場や学校までの距離が遠くなり、移動時間が増えるケースがあります。また、家族の意見が分かれるということも考えられるでしょう。
土地に求める条件を見直す
2つ目に土地に求める条件を整理し、優先順位を整理し直す方法です。こちらは希望エリアに強いこだわりがある場合に適しているでしょう。
メリットとしては、住みたいエリアにこだわり続けられ、生活の一貫性が保てる点です。家族や親戚から離れすぎない、通勤・通学などの距離に支障が出ないなどの利点が挙げられます。
デメリットは、理想の住まいづくりに制限が出てしまう可能性があること。例えば、広さや形状、日当たりなどの妥協点が、生活に影響を及ぼすかもしれません。
土地なしの状態で注文住宅を建てるまでにかかる期間は?
土地なしの状態から家が完成するまでには、「土地探し」「土地契約と決済」「建物の設計やプランニング」「建築工事」のプロセスがあり、期間としては「約1〜2年以上」が1つの目安となるでしょう。
ただし、土地探しだけで1年以上かかるケースもあります。
「家を建てたい」と思ったタイミングで、早めに建てたい家のイメージや土地探しなど情報収集をしておくことをおすすめします。
関連記事:「家を建てるにはどれぐらいの期間がかかる?工程ごとにかかる時間について」
土地がない場合は土地探しと家づくりを並行して行う必要がある
土地がない状態で注文住宅を建てる場合、土地の手続きと建物の手続きを並行して進める必要があります。土地と建物のそれぞれの手続きが重なるため、契約内容等をしっかりと確認しながら手続きを進めましょう。
また、土地契約や建物の設計、工事などで完成まで1〜2年以上かかるケースもあります。そのため、特に土地探しは求める条件の優先順位を明確にしながら行うことが重要です。
「どこに家を建てるか」「どんな家に住みたいか」「予算は合うか」など家族としっかり話し合いを重ねながら、理想の住まいを作っていきましょう。
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