注文住宅を購入・取得する際には、土地の購入費用と家の本体建築費用に加えて「諸費用」と呼ばれる費用が発生します。
そこで今回は、注文住宅の資金計画を考える上で見落としてしまいがちな諸費用の相場と内訳について、諸費用を節約するためのポイントや、おすすめの相談先と一緒に解説していきます。
注文住宅を購入するための資金計画、タイミングを考える上での参考としてご確認ください。
※本記事でご紹介する税率の軽減措置等は、令和7年5月現在の情報に基づくものです。
注文住宅の取得にかかる諸費用は「全体費用の10%」が目安
注文住宅の諸費用とは、土地代と建物の建築工事費以外にかかる費用の総称のことです。各種契約の際に発生する手数料や税金、建築工事以外の工事費、専門家への報酬、保険料などが該当します。
具体的な金額は、ハウスメーカーや工務店の規定の他、購入する土地や家づくりの条件により変わってきますが、一般的な相場目安としては、注文住宅の取得にかかった費用総額(土地の購入費用+家の本体建築費用)の10%前後だと言われています。
例えば、土地の購入費用と家の本体建築費用として合計4,000万円の費用をかけた場合は、別途400万円前後の諸経費が発生するというイメージです。
なお、注文住宅の諸費用の中には、発生した時点での現金払いを求められるものも多いです。
注文住宅の資金計画を立てる際は、諸費用の金額も考慮して全体の予算限度額や住宅ローンの借入額を検討しなければならないと覚えておきましょう。
関連記事:「【事例あり】家を建てるのに貯金はいくら必要?初期費用を抑えるコツも!」
手付金や申込金、頭金などは諸費用に含まれない
注文住宅の購入・建築の契約をする際には、申込金や頭金、手付金、着工金、中間金を支払うことも少なくありません。これらのお金は注文住宅の初期費用に含まれるものですが、建物の購入費用や工事代金の一部を数回に分けて支払っていくものであり、諸費用とは区別されます。
住宅や土地の購入費用とは別に、これらの取得にあたって発生する税金や手数料、調査費、工事費等が、諸費用に該当すると理解しておきましょう。
関連記事:「ハウスメーカーで注文住宅の仮契約をする際の確認事項は?押さえておくべき注意点も」
【注文住宅の諸費用1】税金関係
注文住宅の取得にかかる諸費用は、大きく以下3つのカテゴリーに分けることができます。
- 税金関係
- 工事関係
- その他費用
ここからは上記それぞれのカテゴリー別に、注文住宅の諸費用の内訳について確認していきましょう。
まず、注文住宅を購入する際に発生する諸費用のうち、税金関係に当たるものとしては印紙税・不動産取得税・登録免許税の3つが挙げられます。それぞれの税金の概要は、以下の通りです。
印紙税
土地なしの状態から注文住宅を購入する場合、買主は以下の契約書を交わすことになります。
- 土地を購入・取得する際に交わす「土地売買契約書」
- 注文住宅の着工に際して交わす「建築工事請負契約書」
- 住宅ローン借入のために交わす「金銭消費貸借契約書」
上記のような契約書を交わす際には、取引金額に応じて収入印紙を購入・貼り付けする必要があります。この印紙代のことを印紙税と言い、金銭消費貸借契約書であれば500万円以上1,000万円以下の契約では1万円、1,000万円以上5,000万円以下であれば2万円の印紙税が必要です。
【参考】印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
ただし、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される土地売買契約書と建築工事請負契約書の印紙税については、軽減措置が適用されます。具体的には、取引額が500万円以上1,000万円以下の場合は5,000円、1,000万円以上5,000万円以下の場合は1万円に減額されます。
【参考】不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁
不動産取得税
不動産取得税は、新しく土地や建物といった不動産を取得する際に一度だけ支払う税金です。
金額は「不動産評価額(固定資産税評価額)×4%」で計算しますが、令和9年3月31日までの期間に新しく住宅用地・新築住宅を取得する場合は、税率が3%になる軽減措置を受けられます。
また土地の取得税に関しては、取得から一定期間内に住宅を新築する等の条件を満たす場合に限り、以下の計算式で求めた税額のいずれか高い方の金額を差し引く特例措置も適用されます。
- 150万円 × 税率(3%)
- 土地1㎡当たりの価格 × 住宅の床面積の2倍(1戸当たり200㎡を上限) × 税率
さらに建物の取得税についても、新築住宅に対しては住宅の床面積が50㎡(一戸建て以外の住宅で貸家の用に供する場合は40㎡)以上240㎡以下であれば、建物の固定資産税評価額から1,200万円が控除される仕組みがありますので、併せて覚えておくと良いでしょう。
【参考】住宅:不動産取得税に係る特例措置|国土交通省
登録免許税
登録免許税とは、土地・建物の持ち主や抵当権の登記情報を変更・登録する手続きをする際に発生する税金のことです。以下の一覧に、新しい土地と注文住宅を取得するために支払わなければならない登録免許税の概要、税率の軽減措置についてまとめましたので、ご確認ください。
土地の所有権移転登記 |
土地の持ち主が変更になったことを登記するための手続き。 登録免許税額は固定資産税評価額の2%で計算されるが、令和8年3月31日までは、税率が1.5%になる軽減措置が適用される。 |
建物の所有権保存登記 |
完成した家の所有権を買主に移す際に必要となる登記手続き。 登録免許税額は固定資産税評価額の0.4%で計算されるが、令和9年3月31日までは税率が0.15%になる軽減税率が適用される。 さらに、特定認定長期優良住宅などの条件を満たすものは、税率が0.1%になる軽減措置が適用になる。 |
ローンの抵当権設定登記 |
住宅ローン借入にあたり、家を担保にするための登記手続き。 原則は固定資産税評価額の0.4%で計算されるが、令和9年3月31日までは軽減税率適用により、税率0.1%での計算となる。 |
【参考】登録免許税の税額表|国税庁
関連記事:「家を建てる時にかかる税金はいくら?金額の目安や新築住宅に使える軽減・控除制度をまとめて解説」
【注文住宅の諸費用2】工事関係
続いて、注文住宅の工事に関わる諸費用である地盤調査費・建築確認申請費・建築設計費・ライフライン引き込み工事費・司法書士報酬の概要と金額目安について、確認していきましょう。
地盤調査費
新築で注文住宅を建てる際には、家を建てる土地に対し、地盤調査を行うのが一般的です。
そのため注文住宅の諸費用の一部には、地盤調査費用も含まれてきます。なお地盤調査は5万円程度から実施できますが、土地の状態や履歴により、詳しく調べたいという場合は30万円前後かかる場合もあります。
関連記事:「注文住宅を土地なしの状態から建てる流れとは?希望エリアに土地がない場合の対処法も解説」
建築確認申請費
新たに建物を建てる際には、その設計図が現行の建築基準法に合致しているかについて建築予定地の自治体、または民間の確認検査機関に申請し、審査してもらわなければなりません。
この審査、及び申請を行うことを建築確認申請と言います。建築確認申請にかかる費用は申請先によって変わりますが、ご自身の家の設計・建築を行う施工会社に対応してもらう場合は、3万円ほどが相場となるでしょう。
なお建築士などに建築確認申請を依頼する場合は、別途数万〜30万円程度の代行費が発生することもあります。
建築設計費
建築設計費(または設計監理費)とは、新築住宅の設計と工事監理、またそのための手続きの際にかかる印紙税のことで、ハウスメーカーや工務店に家の設計と建築を依頼する場合は、本体工事費の一部として請求されるのが一般的です。
ただ、建築事務所等に家づくりを依頼する場合は、建築設計費として別途請求されるケースもあるので、覚えておきましょう。
ライフライン引き込み工事費
注文住宅を購入・取得する際は、本体工事費とは別に上下水道・都市ガス・電気の引き込み工事費の他、水道加入金などを諸費用として支払う必要があります。各種ライフラインを引き込むための工事費の目安は、以下の一覧の通りです。
上下水道の引き込み工事費目安 | 30~100万円 |
都市ガスの引き込み工事費目安 | 10~20万円 |
電気の引き込み工事費目安 | 10~20万円 |
なお、水道加入金の価格については自治体により大きく異なりますので、一度、家の建設予定地の自治体に確認してみてください。
司法書士報酬
先述した登記手続きを行う際は、その道の専門家である司法書士にお任せするのが一般的です。
登記手続きを司法書士にお願いするための司法書士報酬は、手続き1件当たり3〜5万円が目安となりますので、覚えておきましょう。
【注文住宅の諸費用3】その他の費用
税金と工事関連費用以外の諸費用としては、仲介手数料や融資手数料といった各種手数料の他、ローン保証料、ローンと住宅に関する各種保険料、神事にかかる費用が挙げられます。
それぞれの費用における概要と金額の目安は、以下の通りです。
仲介手数料
ハウスメーカーや工務店が扱う土地ではなく、不動産業者に紹介してもらった土地を購入して家を建てるという場合は、不動産業者に仲介手数料を支払わなければなりません。
具体的には、売買金額が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」の計算式で算出した金額を、仲介手数料として支払います。
ただし、売買金額が800万円以下の場合の仲介手数料については、宅地建物取引業法で一律33万円(30万円+消費税)と上限が定められているため、400万円以上800万円以下の土地を購入した場合の仲介手数料は、最高でも33万円となります。
【参考】宅地建物取引業法|e-Gov法令検索
融資手数料
融資手数料とは、住宅ローンを借りる際に発生する手数料のことです。その計算と支払いの方法としては、大きく融資金額の1〜3%を手数料として支払う「定率型」と、融資金額とは関係なく一定額の手数料を支払う「定額型」の2種類があります。
どちらの方法で融資手数料を支払っていくのかは、金融機関やローンプランの規定により変わってきますので、詳しくは住宅ローンの借入を検討している金融機関にご確認ください。
ローン保証料
連帯保証人ではなく、保証会社に住宅ローンの保証をお願いする場合は、借入額の2%前後の金額をローン保証料として支払う必要が出てきます。
その支払い方法としては、融資を受ける際に一括で払う方法と、金利に上乗せする形で長期的に支払っていく方法の2種類があります。保証会社を利用して住宅ローンを借りたいと考えている場合は、保証料の支払い方法についても金融機関に確認しておきましょう。
各種保険料
注文住宅の購入時、及び住宅ローンを借りる時には、以下の保険への加入が必須となります。
- 団体信用生命保険(団信保険)
- 火災保険
- 地震保険
団体信用生命保険とは、契約者がローン返済中に死亡、または高度障がい者になった場合等に、残債の返済が免除されるようにするための保険のことです。
注文住宅を購入する際の諸費用には、これらの保険料が含まれることも理解しておきましょう。
神事費用
地域により実施の必要性や費用の相場は変わってきますが、注文住宅などの建物の新築時には工事の安全を願う以下のような神事を執り行う場合があります。
- 工事を始める前に行う「地鎮祭」
- 建物の骨組みができた時に行う「上棟式」
これらの儀式を執り行うには、初穂料やお供え物の準備に5万円ほどの費用が掛かる他、上棟式ではご祝儀や昼食の費用が別途必要になることもあるため、きちんと神事を行いたいという場合は、諸費用として神事費用も用意しておきましょう。
注文住宅にかかる諸費用を抑えるためのポイントは?
ここまでに見てきた諸費用をすべて合計すると、数百万円単位の金額になるのが一般的です。
しかし、家を建てて住み始めた後の住宅ローンの支払いやメンテナンス費用を考えると、購入時の諸費用は少しでも抑えておきたいですよね。
そこで以下に、注文住宅の取得時にかかる諸費用を減らすためにできることについて、まとめて紹介していきます。注文住宅のための資金計画を考える際の参考として、ぜひご確認ください。
- 仲介手数料がかからないように、ハウスメーカーや工務店に土地を紹介してもらう
- 住宅ローンの借入額は金利だけでなく、団信保険料やローン保証料も考慮して決める
- 火災保険と地震保険は、条件をよくチェックし、最低限の補償がついた種類を選ぶ
- 国や自治体が提供する補助金の中に、使えそうなものがないか探してみる
- 場合によっては、つなぎ融資やオーバーローンの活用も検討する
関連記事:「【年収別】家を建てるシミュレーション|算出方法や住宅ローンのポイント」
注文住宅の諸費用に関する相談はハウスメーカー・工務店へ
注文住宅を取得する際にかかる諸費用について、具体的なイメージが湧かない、少しでも減らす方法を知りたいという場合は、ハウスメーカーや工務店で相談してみるのがおすすめです。
ハウスメーカーや工務店の営業担当は、住まいの間取りやデザインだけでなく、マイホームを手に入れるための資金計画のプロフェッショナルでもあります。
そのため、注文住宅の購入にかかる諸費用のシミュレーションや、自社が住宅用地を持つ自治体において利用可能な税金の軽減措置、優遇制度、補助金に関する情報など、諸費用の把握と節約に役立つ具体的なアドバイスをもらうこともできるのです。
また、工事関係の諸費用のうちどこまでが施工費(本体工事費)に含まれているかといった施工会社ごとの違いについても教えてもらえるので、一度、総合住宅展示場のモデルハウスまで足を運び、ハウスメーカーや工務店の担当者に直接相談してみると良いでしょう。
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