新築注文住宅の購入に使える補助金は?優遇・減税制度や利用上の注意点も

新築の注文住宅を購入・建築する際には数千万円単位の費用がかかるのが一般的ですが、国や自治体から支給される補助金をうまく活用できれば、金銭的負担を軽減することができます。
そこで今回は、注文住宅を新築する際に利用できる補助金や優遇制度、税金の軽減・控除制度の概要や利用する場合の注意点について、まとめて紹介していきます。いずれも新しく家を建てる上で知っておいて損はない情報ばかりですので、マイホームの購入を検討中という方は、ぜひ参考にご覧ください。

新築注文住宅の購入時に補助金を利用する場合の注意点

注文住宅の新築時に利用可能な補助金の種類・概要について紹介する前に、まずは各種補助金を使う上で知っておくべき注意点について、確認していきましょう。
主に国、または都道府県や市町村等の自治体から支給されることになる補助金は、公的な資金を財源としています。そのため各種補助金には、原則として以下のような性質があるのです。

  • 予算や採択件数について、あらかじめ上限が決められていることが多い
  • 予算や応募件数が上限に達した場合は、先着順または抽選によって採択者が決定される
  • 補助金ごとに設定された手順や方法、ルールを遵守し期限内に申請しなければならない
  • 国による補助金については、2種類以上を併用できないケースが多い
  • 補助金を受け取れる要件や傾向にはトレンドがあるため、今年度は実施されていた補助金が、来年度も継続になるとは限らない

住宅関連のものに限らず、各種補助金は所定の要件を満たし、決められた期間内に正しい方法で申請しなければ、受けることができません。また、適切な方法やタイミングで申請したとしても、予算や応募件数が上限に達してしまっていた場合は、受け取れないこともあります。
さらに補助金の種類や名称、内容は年度ごとに切り替わるため、計画段階で目星をつけていた補助金が、住宅を購入する時には使えなくなっているということも十分にあり得るのです。
新築注文住宅の購入にあたって補助金を最大限活用したい場合は、ご自身の家づくりのスケジュールと各種補助金の要件を照らし合わせ、こまめに最新情報を収集・確認する必要があると覚えておいてください。
関連記事:「家づくりのスケジュールと流れは?注文住宅を建てる工程と一緒に紹介

国による新築注文住宅への補助金の具体例

国による新築注文住宅への補助金の具体例
ここからは、2024年2月現在の情報をもとに、新築注文住宅を購入する際に受け取れる可能性がある補助金の種類・概要について、具体的に紹介していきます。まず令和5年度(2023年4月〜2024年3月)を対象に、国によって実施・支給された注文住宅関連の補助金としては、以下の4種類が挙げられるでしょう。

①こどもエコすまい支援事業

エネルギー価格高騰による家計への影響を受けやすい以下いずれかの世帯が、ZEHレベルの省エネ性能を有する住宅を取得する場合に、1戸あたり100万円を補助してくれる支援制度です。

  • 子育て世帯(18歳未満の子供を有する世帯)
  • 若者夫婦世帯(夫婦いずれかが39歳以下の世帯)

ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略であり、生活上のエネルギー消費量の収支がゼロになることを目指す住宅のこと。具体的には、外皮の断熱性能を大幅に向上させるとともに、再生エネルギーの利用や省エネルギーのための設備も導入して、電気やガスの供給を受けなくても暮らせる状態を目指して建てられる住宅と理解しておけば良いでしょう。
なお本補助金を利用するには、要件を満たした上で、所定の期間内にハウスメーカー等の事業者から申請手続きを行う必要があります。ただし、令和5年度のこどもエコすまい支援事業は、同年9月28日時点で予算に対する補助金申請額の上限に達したため、受付を終了しています。
【参考】住宅:こどもエコすまい支援事業について-国土交通省

②ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業

先述のZEH住宅をはじめ、ZEH+、次世代ZEH+、次世代HEMSといった環境にやさしい住宅を建てる際に利用できる経済産業省、環境省の2省連携による支援事業です。ZEHビルダーの登録を受けた施工会社が、ZEH住宅の要件を満たした住まいを新築する場合に申請できる事業であり、大きく以下3つの種類に分けられています。

ZEH支援事業 ZEH、Nearly ZEH、ZEH Oriented】
1戸あたり補助金55万円+加算措置
【ZEH+、Nearly ZEH+】
1戸あたり補助金100万円+加算措置
次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業 ZEH+、Nearly ZEH+】
1戸あたり補助金100万円+加算措置
次世代HEMS実証事業 【ZEH+、Nearly ZEH+】
1戸あたり補助金112万円+加算措置

本事業への申請によって受け取れる補助金の額は、上記のうちどの要件を満たした住宅を建てるかによって変わってきます。またZEH住宅の要件を満たした上で、特定の高性能機器を取り付けた場合には、さらに+αとして補助金額が加算される仕組みになっているのも特徴です。
なお、各住宅の新築時に補助金を受け取るための申請要件や、補助金加算の条件等の詳細については、以下の参考サイトまたは施工会社の営業担当に相談するなどして、ご確認ください。
【参考】SII:一般社団法人 環境共創イニシアチブ|ZEH支援事業 公募情報

③地域型住宅グリーン化事業

同一地域の製材業者や設計事務所、中小工務店等が連携体制を築き、地域材を使って省エネ性能に優れた木造住宅を新築する際に利用できる補助金制度です。こちらも、こどもエコすまい支援事業と同じく、申請者(買主)本人ではなく、施工会社が申請と受け取りを代行します。
なお、地域型住宅グリーン化事業の申請で受け取れる補助金の額は、建てる住宅の種類や条件等により、以下のように変わってきます。また本制度を申請・利用できるのは、本事業のグループの一員として採択されている中小の建築事業者のみとなるため、注意が必要です。

補助対象の住宅と補助限度額(加算措置含む)

  • 認定長期優良住宅
135万円
  • ZEH
  • Nearly ZEH
140万円
  • 認定低炭素住宅
  • ZEH Oriented
110万円

【参考】地域型住宅グリーン化事業 グループ募集要項【令和5年度】-地域型住宅グリーン化事業評価事務局
なお地域型住宅グリーン化事業は、令和5年度分Ⅲ期として令和6年6月30日まで先着順での申請が可能ですが、令和6年度分としての実施予定はありません。申請や制度の利用、また加算措置を受ける条件等の詳細については、以下のような国土交通省のサイトを確認するか、注文住宅の設計・施工を請け負う施工会社に質問してみましょう。
【参考】住宅:令和5年度 地域型住宅グリーン化事業(認定長期優良住宅、ZEH・Nearly ZEH、認定低炭素住宅、ZEH Oriented)-国土交通省
地域型住宅グリーン化事業(評価)

④LCCM住宅整備推進事業

省エネ住宅の中でも特にCO2排出量の削減に重きを置き、建築時・運用時・廃棄時等のライフサイクルにおいて、CO2収支がマイナスになる家のことをLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅と言います。LCCM住宅整備推進事業とは、ZEH住宅よりも環境にやさしいとされるLCCM住宅の一戸建てを建てる場合に、設計費および建設工事等における補助対象工事のかかり増し費用の1/2、最大で1戸あたり140万円を補助するというものです。
なお令和5年度のLCCM住宅整備推進事業の申請受付期間は、2024年1月19日までですべて終了しています。また、本制度の補助金申請の受付期間は、申請金額の合計が予算に達した段階で終了となるため、来年度以降の実施にあたり申請を検討したいという方は注意しましょう。
【参考】住宅:令和5年度 LCCM住宅整備推進事業 – 国土交通省

自治体の新築注文住宅への補助金には、どんなものがある?

自治体の新築注文住宅への補助金には、どんなものがある?
国だけでなく、都道府県や市町村単位の各自治体でも、注文住宅等を新築される方に対しさまざまな補助金が提供されています。具体的な名称や内容、金額は地域によって異なりますが、以下のような補助金制度を設けている自治体が多いでしょう。

  • 県産材等の地産木材の使用、また地産木材の種類や使用割合を要件とした補助金
  • 生活上のCO2排出量の削減や、災害時等のエネルギー確保に役立つスマートエネルギー住宅の普及促進を目的とした補助金
  • 新築の注文住宅等を建てるにあたり、既存の古い建物の解体費用を補填する補助金
  • 古い木造住宅の耐震診断、また現代の耐震性能に合わせた建て替えを行うための補助金
  • 子育て世帯や県外からの移住者に対し、上記のような補助金額を引き上げる加算措置

自治体の補助金は、国による補助金と併用できることも少なくありません。注文住宅を建てる候補地がある程度決まっている場合は、各自治体の公式サイト等から補助金の情報を確認してみることをおすすめします。

補助金以外も!注文住宅に使える優遇措置の具体例

ここまでに紹介してきたような国や自治体からの補助金は、新しく注文住宅を建てる際にかかるお金を補填してくれる仕組みです。対して優遇制度や税金の軽減・控除制度は、注文住宅の購入時に発生する金利や税金等の支出を少しでも抑え、軽減するために設けられています。
そこで以下からは、補助金と併せて知っておきたい注文住宅の新築・購入に関わる優遇措置の具体例を、2つ見ていきましょう。

住宅ローン金利等の優遇措置

住宅ローンのうち、住宅金融支援機構が全国の金融機関と提携して提供する「フラット35」では、以下のような場合に一定期間金利を引き下げる等の優遇を受けられる場合があります。

  • 既に子供がいる子育て世帯、または若年夫婦世帯が家を建てる場合
  • 子育て世帯や、地方移住者等を積極的に支援する地域に家を建てる場合
  • 省エネルギー性、または耐震性の高い住宅を取得する場合  等

【参考】商品ラインナップ:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】
またフラット35以外にも、自社で住宅ローンを借り入れている方に対し、ATM手数料を優遇する等の特典を提供している金融機関もあります。注文住宅を建てるにあたり、少しでも金銭的負担を減らしたいとお考えの方は、何らかの優遇措置のある金融機関を探してみましょう。

住宅構造による保険料の優遇措置

注文住宅等の建物の耐火性・耐震性は、構造や使われている素材によって大きく変わります。そのため新築する注文住宅の構造次第では、火災保険や地震保険の保険料が一定額割引される等の優遇措置を受けられる可能性があるのです。
例えば注文住宅のうち鉄骨造、鉄筋コンクリート造のものや木造住宅のうち「T構造」という構造級別にあたるものは、他の種類よりも耐火性が高いため、火災保険料が安くなります。
また、耐震等級や免震機能が高い注文住宅であれば、等級に応じて地震保険料が割り引かれることも少なくありません。
関連記事:「土地あり・なしで家を建てる際の費用はどのくらい変わる?頭金と自己資金の目安額

新築注文住宅の建築・保持に使える減税制度の例

新築注文住宅の建築・保持に使える減税制度の例
注文住宅に関わる各種税金にも、一定条件を満たすことで軽減・控除されるものがあります。
そこで以下からは、注文住宅の建築・保持にかかる税金の軽減や控除制度の概要について、一覧表で見ていきましょう。

印紙税 令和6年3月31日までに交わされる土地・建物の不動産売買契約書、また新築工事の請負契約書については、半額に軽減される。
登録免許税 一定の条件を満たす土地・建物等の不動産手続きの場合には、税率が0.1〜0.3%にまで軽減される。
不動産取得税 令和6年3月31日までに取得した宅地、住宅であれば税率が3%になる他、宅地の評価額が1/2になる。また一定の条件を満たせば、さらに1,200〜1,300万円の控除を受けられる。
消費税 新築住宅を建てる場合には、土地への課税が免除される。
相続税 家の新築や購入の資金として祖父母・父母等から贈与を受けた場合は、一定金額まで非課税となる。
固定資産税 令和6年3月31日までに新築された住宅は、一定の条件を満たした場合に課税標準額の軽減措置を受けられる。
都市計画税 住宅用地は200㎡までなら1/3に、200㎡以上は2/3まで軽減される。
住宅ローン控除
(住宅ローン減税)
何らかの省エネ基準に適合する住宅を新築し、かつ入居年の翌年に確定申告をした場合に適用される控除制度。居住開始後の年末時点のローン残高のうち、0.7%を所得税(一部は翌年の住民税)から最大で13年間控除してもらえる。

関連記事:「家を建てる時にかかる税金はいくら?金額の目安や新築住宅に使える軽減・控除制度をまとめて解説
一般的に注文住宅を新築して入居するには、少なくとも数十万円の税金がかかると言われています。上記のような税金の軽減・控除の仕組みを、補助金や他の優遇制度と一緒に最大限活用できれば、注文住宅の購入に伴う金銭的負担を大幅に減らすことができるかもしれません。
補助金と優遇措置、そして税金の軽減・控除制度を適切に併用できるように、それぞれの特徴や概要を覚えておくようにしましょう。

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