家を建てる際には、住宅や土地の購入だけでなく、初期費用の準備も欠かせません。
しかし初期費用には、仲介手数料や登記費用などさまざまなものがあり、具体的にどのような費用をいくらぐらい用意すればよいのか分からず、不安に感じる方は多いでしょう。
そこでこの記事では、家を建てる際に必要な初期費用とは何なのかについて紹介します。
家づくりを検討している場合や初期費用についてお悩みの方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
家を建てる際の初期費用にはどんなものがあるの?
家を建てる際に必要な初期費用は、物件価格の一部である「頭金」と登記費用や税金など物件購入にかかる「諸費用」の2つに分けられます。
この初期費用には住宅ローンの借入額は含まれておらず、基本的に現金で用意しておく必要があります。
では、この初期費用に含まれる「頭金」と「諸費用」は、それぞれどれぐらいの金額を用意しておく必要があるのでしょうか?それぞれ詳しく解説していきます。
家を建てる際の「頭金」とは?
家を建てる際に、物件価格の一部を最初に現金で支払う分を「頭金」といいます。
その相場は、物件価格の1〜2割程度と言われることが多く、頭金の割合が大きいほど住宅ローンの支払い総額が削減できるとされています。
また、近年では頭金ゼロでも住宅ローンを組むことができる物件が増えていますが、頭金ゼロの場合は借入額が増加し、その分、将来的に長期間の返済が必要になります。
そのため、頭金の有無は慎重に検討するようにしましょう。
家を建てる際の「諸費用」とは?
家を建てる際には、土地や建物そのものの価格の他に、各種の諸費用を支払う必要があります。
この諸費用とは、主に手数料や税金のことで、住宅ローンに含めることができるものと、できないものがありますので、事前によく確認しておくようにしましょう。
また諸費用は、物件価格の5〜10%が必要だと言われています。
例えば、4000万円の住宅を購入するなら、約200万円〜400万円の諸費用が必要ということです。
それでは、次の項目から諸費用の細かい内訳について、お伝えしていきます。
家を建てる際の諸費用の内訳
ここでは、家を建てる際にかかる諸費用の内訳を見ていきましょう。
仲介手数料
不動産を介して家を建てる際には、売買価格の3〜5%程度の仲介手数料が発生します。
この仲介手数料は、宅地建物取引業法によって上限が設定されており、売買金額が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限とされています。
とはいえ宅地建物取引業法では、あくまでも上限を示しているだけであり、それより低い金額での支払いも可能です。
そのため、仲介手数料をできるだけ抑えて初期費用を節約したい場合は、不動産業者と交渉し、手数料を割引したり最初から無料に設定している業者を選ぶようにするとよいでしょう。
登記費用
新しく家を建てる場合、物件の面積や構造などの具体的な状態や、権利関係を正確に明示するために、所有権保存登記や所有権移転登記などの登記手続きが必要です。
これらの登記手続きの費用は、登記の種類や物件価格、地域によって異なります。また、登記手続きは専門用語が多く、相続や不動産に関する知識がない人にとっては難しく感じる場合もあるでしょう。
そのため、その道の専門家である司法書士に手続きを依頼することが多く、その際には司法書士への報酬が発生します。
司法書士への報酬は、所有権保存登記の場合が1〜5万円前後、所有権移転登記の場合が2〜11万円前後が一般的とされています。
融資手数料
住宅ローンの融資手数料とは、住宅ローン契約や借入手続きにおいて金融機関に支払う手数料のことを指します。この手数料は金融機関によって異なり、融資手数料や事務取扱手数料などと呼ばれることもあります。
この融資手数料には主に「定額型」と「定率型」の2つのタイプがあります。
融資手数料の相場は、定額の場合は金融機関によって金額は異なりますが、主に3万〜5万円程度、定率型の場合は融資額の2.2%程度が一般的です。例えば、3,000万円の借入に対して2.2%の定率型だと、融資手数料は66万円になります。
どちらが適しているかは借入金額や借入期間によって異なるため、慎重に検討することが重要です。
ローン保証料
住宅ローンにおける保証料とは、住宅ローンの契約者が何らかの理由でローンの返済が滞ってしまい、金融機関へ住宅ローンの返済ができなくなった際に、保証会社がその住宅ローンの支払いを肩代わりするために、ローン契約者と保証会社の間で結ばれる契約に伴う費用です。
このローン保証料は、借入金額や返済期間によって変動しますが、一般的には物件価格の約5〜10%程度といわれており、例えば、3,000万円の物件なら300万円程度の金額を見込んでおく必要があります。
なお、保証会社が住宅ローンの契約者に代わって支払いを行うと、銀行からの借入金が完済されるので銀行との契約関係は解消されますが、返済が免除されるというわけではなく、返す相手が保証会社に変わります。
そのため、場合によっては金利が上がったり一括返済を求められたりと、住宅ローン契約者にとっては条件が厳しくなる可能性もあるため注意が必要です。
不動産取得税
不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得した際にかかる税金のことで、取得時に一度だけ支払えば済みます。
もし、注文住宅を新築した場合、土地を購入して家を建てるなら土地と建物の両方に、既に所有していた土地に新しく家を建てた場合は、建物のみに不動産取得税が課せられます。
また、不動産取得税の計算方法は、「不動産取得税=課税標準額×標準税率(4%)」です。
課税標準額とは、税務署によって評価される土地や建物の評価額のことで、この評価額に基づいて不動産取得税が計算されます。
例えば、土地の評価額が4,000万円、建物の評価額が3,000万円とした場合、それぞれの評価額に標準税率の4%をかけて計算します。
- 土地の不動産取得税=4,000万円×4%=160万円
- 建物の不動産取得税=3,000万円×4%=120万円
ただし、不動産取得税には特例があり、軽減措置の条件を満たしている土地・建物であれば、評価額が1/2になるほか、条件によっては標準税率も3%に変わるケースもあります。
なお、不動産取得税に関する不明点がある場合は、家づくりのプロに相談すると最も節税効果が見込める方法を見出してくれるでしょう。
固定資産税・都市計画税
固定資産税は、毎年1月1日に土地や建物を所有している人に課税される税金で、都市計画税は「市街化区域内」に土地と建物を所有している人のみが課税される税金です。
具体的な算出方法は、固定資産税は固定資産税評価額に1.4%を掛けて、都市計画税は固定資産税評価額に0.3%を掛けた数字がそれぞれの税率となります。
固定資産税評価額は、市区町村から毎年送付される固定資産税・都市計画税の納税通知書にも記載されています。
なお、固定資産税は地域の発展に、都市計画税は都市計画や土地区画整理に必要な費用を賄うための税金に充てられます。
印紙税
印紙税は、印紙税法に基づいて定められた課税文書に対して課税される税金のことを指します。
家を建てる際の売買契約書や建物の建築請負契約書、ローン借入れのための金銭消費貸借契約書などが課税文書に該当し、契約書に記載されている金額によって税額が決まります。
印紙税の金額は物件の売買価格によって変動し、物件価格が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙税額は2万円となります。なお令和6年1月現在、新築住宅の売買・建築に関わる契約書の印紙税の一部には、軽減措置が設定されています。
具体的には、令和6年3月31日までに交わされる土地・建物等の不動産の売買契約書、新築工事の請負契約書の印紙税については、税額が半額になる軽減措置が適用されますので、併せて覚えておくと良いでしょう。
【参考】不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁
火災保険料
住宅ローンを組む際は、火災保険・地震保険の契約が必要であり、多くの場合、火災保険への加入がローン契約の条件となります。
火災保険の保険料は、保険の内容によって異なりますが、基本的には5年一括契約で15〜40万円程度です。地震保険は火災保険への上乗せするのが一般的で、その際の保険料は、保険金額1,000万円あたりで約1〜3万円程度です。
団体信用生命保険
団体信用生命保険とは、途中で住宅ローン契約者が万が一死亡したり、高度障害状態になってしまった場合に備えて加入する生命保険のことです。
この保険が下りるとローンの残債が完済され、遺族に返済の負担が残らないようになります。
また、団信の保険料は住宅ローンの金利に含まれている場合が多く、住宅ローンの契約者が追加で支払う必要はほとんどありません。ただし、特約を付加する場合は年0〜0.3%程度の金利が住宅ローンに上乗せされることが多いです。
なお、団信に加入できるのは、一般的には住宅ローンの契約時のみです。契約後に特約の追加や内容の変更ができる場合もあるものの、健康状態によっては加入・変更ができないこともあるため、契約時には慎重な検討が必要です。
初期費用に不安があるならハウスメーカーに相談しよう!
これまで、家を建てる際に必要となる初期費用についてお伝えしてきました。
ただし、今回紹介した内容はあくまで一般的な目安ではあるので、自分たちの希望する土地に家を建てた場合の初期費用のシミュレーションを、実際に行ってみることをおすすめします。
そうすることで、具体的な費用感や内訳がわかり、家づくりの計画が進めやすくなるでしょう。
もし、初期費用の内容が多くて、結局どれぐらいの費用を用意すればよいのかわからず悩まれている場合は、総合住宅展示場へ足を運んで家づくりのプロに相談するのも一つの方法です。
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