家を建てるタイミングは人によってそれぞれですが、一生に一度の大きな買い物なのでどのようなタイミングで家を持つべきか悩む人も多いでしょう。
年齢や家計といった「個人の事情はもちろん、社会の動きによって土地の価格や金利も変わってくるので、自分たちにとって適したタイミングを見極めるのが大切です。
そこで今回の記事では、住宅を購入する際の平均値やライフイベントの影響などいろんな観点から住宅購入のタイミングについて解説をしていきたいと思います。
家づくりを考えている方は、自分たちの状況と重ね合わせて参考にしてみてください。
家を建てるタイミングの平均って?
家を建てる決断をするタイミングに悩んでいると、他の人は「いつどんな理由で建てたのだろう?」と気になる方もいるかもしれません。
ここでは国土交通省が発表しているデータをもとに、住宅を購入する際の年齢、所得などの平均値をご紹介します。
●参考データ:国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001610299.pdf)
住宅購入時の平均年齢
国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」のデータによると、初めて住宅を取得した世帯「一次取得者」の平均年齢は以下となっています。
住宅の種類 | 平均年齢 |
注文住宅(※建て替えを除く) | 39.5歳 |
分譲戸建住宅 | 37.5歳 |
分譲集合住宅 | 39.9歳 |
既存(中古)戸建住宅 | 43.6歳 |
既存(中古)集合住宅 | 43.7歳 |
こうしてデータを見ると、初めて家を購入するのは30代、40代が中心であることが分かります。
結婚をしたり子供授かったりするとマイホームの購入を検討し出すケースが多いことも考えられますが、この結果は住宅ローンも大きく関係しています。
30代になると若いころより所得や頭金に充てられる貯蓄も増え、住宅ローンの審査が通りやすくなる背景があります。
また、住宅ローンを返済する期間は最長で35年です。仮に30歳で35年のローンを組むとすれば、完済する年齢は65歳に。長期ローンを組む場合は、逆算して30代や40代前半に住宅購入を検討する人が多いようです。退職後もローン返済が続くと老後の生活が苦しくなってしまう可能性もあるので、借入を考えている人はできるだけ早めに住宅購入を検討するのがよいでしょう。
しかし、40代後半や50代でローンを組んで住宅を購入するのが間違いという訳ではありません。
貯蓄をしていれば多くの頭金を用意することができ、長期的ローンを組む必要もなく金利への支払いも抑えることができます。
いずれにしても、余裕をもった無理のない資金計画を立てることが大切です。
平均世帯年収
続いて、住宅ごとの平均世帯年収をご紹介します。
注文住宅の調査地域は全国、そのほかの住宅は三大都市圏で調査したデータになります。
住宅の種類 | 平均世帯年収 |
注文住宅(全国) | 801万円 |
注文住宅(三大都市圏) | 886万円 |
分譲戸建住宅 | 750万円 |
分譲集合住宅 | 960万円 |
既存(中古)戸建住宅 | 752万円 |
既存(中古)集合住宅 | 657万円 |
民間賃貸住宅 | 499万円 |
リフォーム住宅 | 665万円 |
上の表は平均値ですが、いずれの住宅場合も購入層が集中しているのは「年収400万円~800万円」の層であり、注文住宅の全購入者世帯のなかでは「年収400万円以下」の世帯の割合が10%を超える結果データが出ています。
平均の年齢や年収はあくまで参考材料のひとつとして、ライフプランや貯蓄、住宅ローンなど各々のいろんな事情を考慮して住宅購入の計画を立てていきましょう。
平均居住人数
住宅市場動向調査では、ぞれぞれの住宅における平均居住人数のデータも見ることができます。
注文住宅の調査地域は全国、そのほかの住宅は三大都市圏での調査となります。
住宅の種類 | 平均世帯人数 |
注文住宅 | 3.2人 |
分譲戸建住宅 | 3.5人 |
分譲集合住宅 | 2.7人 |
既存(中古)戸建住宅 | 3.3人 |
既存(中古)集合住宅 | 2.0人 |
リフォーム住宅 | 3.0人 |
注文住宅における1世帯あたりの平均居住人数は、「3人」が29.3%と最も多く、次いで「4人が」25.7%、「2人」が25.3%という結果となっていました。
このデータからも家を建てる多くの世帯が3~4人世帯であり、ファミリー層であることが分かります。
家を建てるタイミングはいつ?
家を建てるタイミングとして多いのが、ライフステージに変化が起こるときです。
特に結婚や妊娠、出産などを機に住宅の購入を考えるタイミングに。しかしいざその場面になると「結婚したら家を持つべき?」「子どもを授かる前と後だとどちらの方がいい?」とマイホームの購入に踏み切っていいか悩むことも。
ここではどのようなタイミングで家を建てるのか、具体的な例を紹介いたします。
以下のライフイベントはきっかけの一つなので、年齢、住宅ローン返済などさまざまな観点から住宅購入の時期を検討していきましょう。
結婚のタイミング
婚約をして、結婚をするタイミングで考えないといけないのが新居のことです。
新婚生活はどちらかが住んでいる賃貸に同居するか、一緒に新しく賃貸物件を探すか、もしくはマイホームを検討するかの3パターンに分かれることがほとんど。
結婚と同時にマイホームを購入すると、賃貸の住まいにかかる家賃を節約して長期の住宅ローンを早めに完済できるメリットがあります。しかし、子どもが産まれたら部屋数が必要になったり転勤や転職によって引っ越しを余儀なくされたりするケースもあるため、住環境や間取りなども含めて将来を見据えた購入に注意しなければいけません。
妊娠・出産のタイミング
子どもができるとライフスタイルが変化するため、マイホームの購入を考えるタイミングとなる方が多いようです。
子どもを産む前か出産後かで時期に迷う方もいますが、妊娠中であれば落ち着いて家探しをしたり、家を建てる打ち合わせができたりするメリットがあります。
また出産後であれば実際に子どもとの生活を経験し、新居の間取りや住環境のイメージがより明確になるメリットも。
子どもの人数や通う保育園、学校などによって立地や家選びも変わってくるので、先々の生活も見据えて夫婦で話し合うことが大切です。
子供の入園・入学のタイミング
小さな子どもがいる家庭では、入園や入学前のタイミングで住宅の購入を考える方が多くなります。
「子どもが大きくなってきて手狭になってきた」「子育て環境にいい地域へ引っ越したい」といった理由から、マイホーム購入へと踏み切る家庭も多いようです。また入園や入学をした後に引っ越しをすると転園や転校の手続きが必要となり、子どもが新しい環境に馴染むのに時間がかかることも。
ただし、子育て世代に人気の地域では保育園が満員で希望の園に入れなかったといったケースも発生します。住まいの購入を検討する前には、地域や学校などの情報を集めるようにしておきましょう。
子どもの独立のタイミング
子どもが大きくなって独立し、家を出ていくタイミングも住宅の購入を考えるきっかけに。
今までの家だと部屋が余って広く感じ、「もう少し手狭な家に引っ越したい」と住み替えを検討する方も多いようです。
またマイホームを購入したときは子どものことを優先して子育てに適した環境を選んでいたけれど、子どもが独立した後もその環境が理想的であるとは限りません。近年は年配の方が家の近くに病院やスーパーがある環境を求めて、都心のコンパクトな住宅へと引っ越しを検討するケースも増えています。
また人は年齢とともに体力も低下してくるため、年を重ねると段差の多い家や広い家は掃除など管理が大変だと感じることが多くなってきます。子どもの独立後に住宅の購入を検討する方は、老後の生活に備えてバリアフリーの家を選んだり、平屋に引っ越したりと快適に過ごせる家選びをするとよいでしょう。
仕事の昇給・昇格のタイミング
務めている会社の昇給や昇格も住宅の購入を決断する背景となっています。
その理由として、年収や仕事での地位が上がると金融機関からの信用度も上がり、住宅ローンの審査も通りやすくなることや毎月のローンの返済金額に余裕が生まれることが挙げられます。
月々の支出がいくらくらいで、頭金にはどれくらい用意できるかを計算し、余裕をもった返済ができると判断してマイホームの購入に至る方も多いようです。
今の家に住みにくさを感じたタイミング
ライフイベント以外に住宅の購入を考えるきかっけとなるのが、今の家に住みにくさを感じたタイミングです。
「この家よりもっと広い家に住みたい」「ペットが飼える庭付きの家に引っ越したい」「もう少し交通の便がいい所に住みたい」など、その理由はさまざまです。
毎日過ごす家は、日々の生活の満足度にも大きく影響してきます。「住みにくい」と感じながら暮らすのは避けたいものですよね。せっかく家を建てるなら、そのようなことがないように間取りや住環境などをしっかり検討するようにしましょう。
家賃や駐車場代がもったいなく感じたタイミング
賃貸物件や駐車場を借りていたら、当然月々の支払いが発生します。そんな家賃をもったいなく感じて、マイホームの購入を視野に入れる方も多いようです。
金銭面の損得はもちろん、賃貸物件に比べたときに持ち家ならではの魅力もたくさんあります。
家賃と住宅ローンの返済額を比較すると持ち家の方が高い品質で間取りが広いケースが多く、今の負担額と変わらないのであれば、より快適な住環境を求めてマイホームの購入に至るという方も多いようです。
世の中の動向
地価や金利は世の中の動向に影響を受けるため、「今が買いどきかどうか」で住宅購入のタイミングの判断が変わってくるかもしれません。
2014年以降、アベノミクスの影響などで首都圏の住宅地価は上昇を続けてきましたが、2021年ころには新型コロナウイルス感染症の拡大によって下落しました。翌年からは回復し、ここ2年は上昇の傾向にあると言われています。しかし、近年は住宅ローンの金利が安く、住宅ローン控除が利用できるというプラス面も。
マイホームを検討するときは、現在と先々の不動産や経済状況からプラス要因、マイナス要因を把握して冷静に判断することも重要です。
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