「そろそろ家を建てたいけど、いくら貯金が必要なの?」とお悩みの方に向けて、この記事では家を建てるために必要なお金についてご紹介します。
また記事の後半では、貯金がなくても家を建てることができるのか?という点や、初期費用を抑えるコツについても解説していますので、これからマイホーム貯金を始める方や、頭金を抑えて家を建てたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
貯金はいくら必要?家を建てる時に支払うお金
家を建てる際にかかる費用についてざっくりとイメージはできていても、実際にどのタイミングで、どのくらいの支払いが発生するかはイメージが付きにくいもの。
そこで、家を建てる際に発生するお金と、契約前後に現金での支払いが必要な費用について見ていきましょう。
家を建てる際に発生するお金
家を建てる際に発生するお金は、「土地」「本体建築工事費」「付帯工事費」「諸費用」の大きく4つに分けることができます。
まず土地購入にかかる費用ですが、土地そのものの代金の他に、仲介手数料や印紙代、登録免許税が発生します。
次に本体建築工事費とは、家の建築に必要な費用全般を指します。内訳としては、仮設工事、基礎工事、構造工事、屋根工事、床・壁・サッシの取り付け、電気工事、断熱施工、サイディング(外装材)の取り付け、内装・外装の仕上げ等となります。
本体建築工事費は建物本体の建築費用のみとなるため、駐車場や外構の工事費用は付帯工事費として別途発生します。付帯工事費は外構・造園の他にも、門や塀の設置、水道管の引き込み、照明取り付け、エアコン取り付け等の費用が含まれ、さらに建て替えの場合は、解体費用や地盤調査費、地盤改良工事費も発生します。
また家を建てる際は、建築費用以外にもお金が発生し、それらの費用をまとめて諸費用と呼んでいます。諸費用の内訳としては印紙税や不動産取得税、登録免許税、司法書士報酬、火災保険料、住宅ローン借り入れ費用(融資手数料・保証料)、固定資産税清算金および都市計画税清算金、仲介手数料等が含まれます。
家を建てる際に必ずしも支払いを必要としないお金
家を建てるには上記のようにあらゆる費用が発生しますが、「土地代金の一部」「本体建築工事費」「付帯工事費」については、全額もしくは頭金を除く費用を、住宅ローンに含めることができるため、契約後すぐに現金で一括払いする必要はありません。
なお、家を建てる前提で土地だけを先に購入する際は、土地の購入費用のみ先に融資が受けられる「土地先行融資」や、住宅ローンの融資開始までの一時的な短期融資である「つなぎ融資」を選択することが可能です。
家を建てる際に支払いが必要なお金
家を建てる際に、原則現金での支払いが必要なお金には、「頭金」「土地代金の一部」「諸費用」があります。
まず頭金についてですが、その定めた金額を家の引渡し時に振り込みにて支払うのが一般的です。ただし、頭金を入れずに全額住宅ローンに組み込む場合は不要です。
また「土地代金の一部」と「諸費用」については、原則住宅ローンに含めることができませんので、どこかのタイミングで現金もしくは振り込みにて支払うことになります。
例えば、土地代金の一部は手付金と呼ばれ、土地の売買契約時と引渡し時の2回に分けて支払います。住宅ローンの頭金と違って振り込みではなく現金にて支払うのが通常です。なお、手付金は土地の売買に関する費用ですので、すでに土地を所有している場合は発生しません。」
関連記事:「土地あり・なしで家を建てる際の費用はどのくらい変わる?頭金と自己資金の目安額」
次に諸費用についてですが、こちらも手付金と同じく原則は現金での支払いとなります。支払うタイミングについては項目ごとに異なり、印紙税や登録免許税などの引渡し前までに支払いが必要な費用と、不動産取得税や固定資産税・都市計画税など引渡し後に支払う費用があります。
ちなみに金融機関にもよりますが、諸費用の一部を住宅ローンに組み込ませることも可能です。メリットやデメリット、注意点については後ほど詳しく解説します。
【事例あり】家を建てる際に必要な貯金額はいくら?
家を建てる際に必要なお金をご紹介しましたが、具体的にどれくらいマイホーム貯金をしておけば良いのでしょうか。売買契約〜引渡し時に発生する金額と、具体例を見てみましょう。
売買契約〜引渡し時に支払う費用の目安
売買契約〜引渡し時に支払う費用は「頭金」「手付金」「その他の諸費用」の3つ。
まず頭金に関しては、購入価格に対する10〜20%が平均的な割合となっています。ただし、住宅ローンを頭金なしのフルローンで組む際は不要です。
次に土地の手付金に関しては、宅建業法で土地売買代金の20%が上限と規定されており、一般的には5〜10%が相場となっています。
そして諸費用に関しては、物件価格の6〜9%が平均的な割合となっています。
つまり、頭金を支払う場合でおよそ2〜3割、頭金なしの場合で1〜2割が、現金での支払いが必要となる金額だと見積もっておきましょう。
【事例】4,500万円の土地付き注文住宅を購入する場合の貯金額目安
例として、4,500万円の土地付き注文住宅を購入するとして、購入時に必要な貯金の目安を見てみます。なお、今回は先ほどご紹介した平均的な割合を使用し、手付金以外の土地代は住宅ローンに含めることとします。
・手付金:4,500万円×5〜10%=225万〜450万円
・諸費用:4,500万円×6〜9%=270万〜405万円
・頭金:4,500万円×10〜20%=450万〜900万円
仮に頭金なしで住宅ローンを組む場合はトータル495万〜855万円、頭金を10〜20%で入れる場合はトータル945万〜1,755万円が必要という計算になります。
実際には、これらの金額に加えて引っ越し費用や家具・家電の購入費用なども考慮しておきましょう。
貯金ゼロでも家を建てることは可能?初期費用を抑えるコツ
家を建てる際は前述の通り手付金や諸費用が発生するため、貯金が全くない状態では正直難しいと言えます。しかし、フルローンやオーバーローンを上手く活用することで、必要な現金を最小限に抑えることは可能です。
それぞれの特徴や注意点について見ていきましょう。
フルローンの特徴と注意点
フルローンとは、住宅購入費用を全額住宅ローンに含める融資のことです。
先ほどから何度かご紹介していますが、フルローンのメリットは頭金なしで住宅ローンが組める点にあります。特に最近の住宅ローンは低金利ですので、フルローンを利用する人が多い傾向です。
ただし、フルローンにすると当然総支払額が増えますので、返済額が大きくなったり、返済期限が長くなります。頭金を入れなくて良いからといって貯金を怠っていると、支払いが難しくなる恐れもありますので、綿密に返済計画を立てておく必要があるでしょう。
オーバーローンの特徴と注意点
オーバーローンとは、住宅ローンにおいて住宅購入費用以上のお金を借り入れる融資方法です。通常は印紙税や登録免許税といった諸費用を含めた住宅ローンを指しますが、金融機関によっては引っ越し費用や修繕積立金などを住宅ローンに組み込むことも可能です。
オーバーローンを利用すれば、手元に十分な貯金がなくても家が建てられるものの、一方で金融機関にとってはリスクが高い融資ですので、そもそも取り扱いがない金融機関や、通常の住宅ローンよりも金利が高く設定されるケースがほとんどです。また、借入額が増加するので、無理なく返済していけるか?という点もよく計画しておく必要があるでしょう。
さらに、希望する融資額が多ければ多いほど住宅ローン審査も厳しくなるため、誰でも簡単に利用できるわけではなく、オーバーローンを利用するには年収や勤続年数などで高い属性が求められます。
貯金ゼロで家を建てるのをおすすめしない理由
フルローンやオーバーローンを利用する場合、貯金がそれほどなくても家が建てられるのは事実です。しかし、全く貯金がない状態でローンを組む、あるいは家を購入することで貯金がゼロになる状態で新生活をスタートさせるのは、あまりおすすめしません。
その理由について見ていきましょう。
おすすめしない理由1.住宅ローンの審査が通りにくくなる
住宅ローンを借りて家を建てる際、貯金や株などの保有資産について聞かれることがあります。
住宅ローンを組む際は、職業や勤続年数、年齢、家族構成、他の金融機関での借入状況など、いわゆるその人の属性で審査が行われます。しかし中には、無職なのに億単位の資産を保有しているなど、これらの属性だけで信用をはかることができないこともあるでしょう。このような場合、貯金や株などの保有資産は、その人の信用をはかる重要な要素となるのです。
また、年収に対して借入金額と返済負担率が大きい場合も、上記の理由などで、貯金などの保有資産について聞かれることがあります。
逆に言えば、貯金額はその人の信用力をはかるための大切な要素の一つであり、貯金が全くないということは、返済能力が低いとみなされる要因になります。頭金を入れることで住宅ローンの審査が通りやすくなるのは、このためです。
おすすめしない理由2.生活が維持できなくなる
貯金を全額頭金の支払いに充てる人がいますが、火災保険料や地震保険料、団体信用生命保険料、固定資産税及び都市計画税など、家を買った後も、家を維持するためのお金が毎年数十万円単位で発生します。また、一戸建てはマンションと違って修繕費を自主的に積み立てておく必要もあります。
「頭金をできるだけ多く入れて、住宅ローンの借入額をなるべく下げたい」「貯金がなくなっても良いので今すぐ家を建てたい」と考えている人は、ぜひ購入後に必要なお金についても考えておきましょう。
またこれらの費用とは別に、家を建てる際は生活防衛資金として生活費の6ヶ月分を確保しておいた方が良いと言われています。4人家族の平均生活費は約30万円だとされていますので、この場合最低でも180万円は貯金として残しておきたいところです。
家を建てる際は最低でも1〜2割は貯金しておくと安心
今回は、家を建てる際に必要な貯金についてご紹介しました。
マイホームを新築する際は最低でも物件価格の1〜2割は貯金しておき、さらに生活費の半年分程度残しておくと安心です。
とは言え、住宅ローンは申込可能年齢や完済時年齢も条件として設定されていますので、貯金と借入期間のバランスを考えて、自身に合ったタイミングと価格帯を知ることが大切だと言えるでしょう。
また、プロに相談するのも良い方法です。総合住宅展示場には様々なハウスメーカーがあり、営業マンは皆プロフェッショナル。家を建てる際の資金計画についても相談に乗ってくれますよ。
関連記事:「ハウスメーカーと工務店の価格差はどれくらい?価格差が生まれる理由も!」
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