家づくりについて調べていると、ハウスメーカーや工務店に支払う「契約金」という言葉を見かけることがあります。しかし、家を建てるのが初めてだと「契約金の費用はどのくらい？」「いつ支払えばいいの？」など、疑問を抱く方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、ハウスメーカーや工務店に支払う契約金の費用相場や、支払うタイミングについてお伝えします。また、契約金を支払えないときの対処法や、知っておきたい注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
ハウスメーカー・工務店に支払う契約金とは？
まず、ハウスメーカーや工務店に家づくりを依頼するときには、初期費用がかかります。
家づくりにおける初期費用とは、住宅ローンの契約前に必要となるお金を指すことが多く、いくつか種類があります。「契約金」もそのうちのひとつです。そして、契約金の性質を持つ費用としては、主に「申込証拠金」と「手付金」が挙げられます。
「申込証拠金」はハウスメーカーや工務店によっては必要のないところもありますが、「手付金」に関しては、ほとんどの場合でハウスメーカーや工務店に支払うことになる費用です。
それぞれ、どのような特徴を持つ費用なのか、各項目に分けて詳しく見ていきましょう。
関連記事：「家を建てる際の初期費用はいくらぐらい必要？詳しい内訳や相場を紹介」
「申込証拠金」の内容と費用相場
この項目では、契約金のひとつである申込証拠金の内容と費用相場を解説していきます。
「申込証拠金」の内容
申込証拠金とは、物件の購入希望者が「購入の意思」を示すために、売主へ支払う（預ける）ものです。別の呼び方としては「予約金」や「申込金」などが挙げられます。
購入希望者は、申込証拠金を支払うことで「その物件を優先的に販売してもらえる」といったメリットが期待できます。
例えば、気に入った家が見つかった際に「もう少し周囲の情報を詳しく調べたい」「資金を集めるのにあと少し時間がかかる」などの事情があるとしましょう。そのようなときに、一時的に物件を仮押さえしてもらうようなイメージです。ただし、期間には期限があり、一般的に7日～10日程と言われています。
ちなみに、売主にとっては、申込証拠金を要求することで本当に購入する意志のある人を見極めることができ「口先だけの安易な申し込みへの対策になる」といったメリットがあります。
ただし、申込証拠金には法的な拘束力はありません。そのため、売主はたとえ購入希望者から申込証拠金を受け取っていたとしても、他の人と売買の交渉を進めることが可能です。
「申込証拠金」の費用相場
申込証拠金の費用相場は、おおよそ10万円です。次の項目で解説する手付金とは異なり、法的な上限は定められていません。売主によっては、申込証拠金を預からないこともあります。
また、申込証拠金は正式に契約が済んだ後、購入者に返還されるものではありますが、実際にはそのまま手付金の一部などに充てられるパターンがほとんどです。
「手付金」の内容と費用相場
続いて、手付金の内容や費用相場を見ていきましょう。
「手付金」の内容
手付金とは、住宅や土地の契約をする際に、買主から売主へ支払う（預ける）費用のことです。土地を持っていない方が家づくりを依頼する場合、主に下記のタイミングで2回手付金を支払うケースが多く見られます。
- 土地を購入するとき（売買契約時）
- 新築工事をするとき（建築工事請負契約時）
この手付金には、契約が成立した証としての意味合いがある他、契約が解除された場合の担保としての役割もあります。具体的には、契約後に買主が「購入をキャンセルしたい」と希望した場合、預けた手付金を放棄することで可能になります。
反対に、売主が契約を解除したい場合は、買主に対して手付金の2倍の金額を払わなければいけません。とはいえ、契約はいつでも解除できるわけではありません。キャンセル可能な期限は、契約書に明記されているはずなので、必ず確認しておきましょう。
また、何事もなく契約に進んだ場合、そのまま住宅購入費用にあてられることが多いため、基本的に支払った手付金がまるごと手元にかえってくることはありません。
「手付金」の費用相場
手付金をどのくらい支払うかは、売主と買主の合意で決まるため、契約ごとに異なります。
一般的には、売買価格の5〜10％程を支払うパターンが多く見られます。例えば、2500万円の家を建てる場合は、125～250万円の手付金がかかる計算です。
また、宅地建物取引業法において、上限は住宅の購入価格の20％までと定められています。
家づくりの依頼をキャンセルしたら契約金はどうなる？
もしも「申込証拠金」や「手付金」を支払った後に、住宅の購入をキャンセルした場合、返金されるのかどうか気になる方もいらっしゃるかと思います。正式な契約に至らなかったときのルールに関しては、それぞれ異なりますので順番に解説していきます。
申込証拠金は返還される
まず、申込証拠金に関してですが、一般的には、住宅を購入しない場合は全額返金されます。ただし、申込証拠金には法的な拘束力がないため、まれにトラブルになるケースもあります。
具体的には「手付金の一部と判断されてしまい申込証拠金が戻ってこない」「事務手数料として一部を差し引かれた」などが挙げられます。
このようなトラブルを防ぐためにも、支払い前に、キャンセルになったときの申込証拠金の取り扱いについて明確にしておくことをおすすめします。例えば、領収書の但し書きの箇所に、「契約が成立しない場合は返還する」などと記載してもらえれば安心できるでしょう。
手付金は返還されない
買主の自己都合で契約をキャンセルする場合、基本的に手付金は返還されません。
ただ、「ローン特約（買主が融資を受けられなかった場合に、契約を白紙に戻せるという条項）」に該当する場合は、住宅ローンの本審査に通らなかった場合に、手付金が返ってくることがあります。契約時にはローン特約がついているかどうかは必ず確認しておきましょう。
ハウスメーカー・工務店に支払う契約金を用意できないときの対処法は？
ハウスメーカーや工務店に支払う契約金（申込証拠金・手付金）を用意できない場合の対処法としては、以下が挙げられます。
- 減額の交渉をする
- 親や親戚に借りる
- 家づくりの時期を見直す
まず、申込証拠金と手付金はどちらも金額が決まっているわけではありません。そのため、ハウスメーカーや工務店との交渉次第では、減額してもらえる可能性があります。
また、自分たちで用意できない場合は、親や親戚に借りるという方法も選択肢のひとつです。契約金を支払うことがどうしても難しいようであれば、家づくりの時期を見直すことも視野に入れた方がよいでしょう。
ハウスメーカーや工務店に支払う契約金についての注意点
ハウスメーカーや工務店に支払う契約金について、注意したいポイントをご紹介します。
カードローンなどを利用しない
手元に契約金を支払うお金がない場合でも、カードローンやキャッシング等の利用はおすすめしません。なぜなら、金融機関に借入していることを知られてしまい、住宅ローン審査に影響することがあるからです。
仮に、自己資産が足りていないと判断された場合、希望の金額を借りることができない可能性が考えられるため、気を付けておいた方がよいでしょう。
契約金も含めて資金計画を立てる
申込証拠金や手付金などの契約金は、土地の代金や建物本体の工事費用に比べると大きな額ではないものの、出費としては負担となることがあります。そのため、家をつくるときは、契約金も含めたうえでトータル費用が予算内に収まるかどうか判断する必要があります。
ちなみに、契約金（申込証拠金・手付金）の項目は、ハウスメーカーや工務店の見積もりに載っていない可能性もあるため、忘れないようにご注意ください。
関連記事：「注文住宅で見積もりを取る流れと注意点を解説！ハウスメーカー比較に役立つ見積書の見方も」
返金の条件などの契約面を確認しておく
ハウスメーカーや工務店に契約金を支払う際は、契約書の文言をよく読み、契約金（申込証拠金・手付金）の返金条件を理解するようにしましょう。
また、手付金を放棄すれば契約を解除できる期間に関しては、契約書に「履行に着手するまで」と記載されているパターンが多く見られます。このタイミングが、具体的にどの工程を指すのか、担当者に聞いておくことをおすすめします。
上記以外にも、なにか不明点があれば、必ず契約金を支払う前に質問しておきましょう。
ハウスメーカー・工務店に支払う契約金は「申込証拠金」と「手付金」！それぞれ相場や内容が異なる
ハウスメーカーや工務店に支払う契約金とは、主に「申込証拠金」と「手付金」のことを意味します。費用相場の目安は申込証拠金がおおよそ10万円、手付金が売買価格の5〜10％程です。
また、自己都合で契約をキャンセルする際は、例外を除いて申込証拠金は全額返還されますが、手付金は放棄しなくてはいけません。
このように、同じ契約金でも種類によって費用や特徴が異なるため注意が必要です。契約金を支払うときは、必ず書面に目を通して内容を理解した上でサインするようにしましょう。
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